2013年4月3日水曜日

戦略的なユーザー買取スキームが求められるようになる












photo credit: thewoodenshoes via photopin


今回は、最近の中古車流通市場の動向から得られた知見についてのメモです。

まず、年度末にかけてのオークションの状況をみると、出品台数はなかなか伸びず、3月中盤までは渋い状況が続いていました。

成約率については70%を超える会場が全国的に多く、どこの地域でもタマ不足であることが伺えます。

直近数ヶ月における円安の影響もあって、輸出関連が強力なプレゼンスを発揮しており、国内専業店さんの中には、金額の高騰により仕入れられないケースも珍しくなかったようです。

ちなみに、2011年のオークションの成約台数は約389万台だったのですが、そのうち輸出がらみは80万台になります。全体の2割が輸出です。今後もしばらくは円安が続くとなると、今年はこの割合がさらに上がっていくかもしれません。

以前は、輸出向けの車両と国内販売向けの車両は、要求されている条件が違っていました。輸出は低年式過走行の車両がメインだったのですが、最近は仕向地の輸入規制やニーズの変化により、国内販売向けの車両と条件は変わらなくなってきています。これまでは国内向けの商品車だったような車両が、どんどん輸出されています。

近年では、国内における良質な商品車の枯渇は深刻な状況です。経済環境や商品性能の向上により、新車で購入された車両は平均で7年以上は中古市場に出てこなくなっています。7年落ちの車両の状態や価値については、あらためて言及するまでもないでしょう。

また、インターネットのインフラやサービスの拡充により、仕向地でもオークション相場や車両の確認が可能になったことで、国内外でタマを奪い合うことになっています。もはや日本のオークションで落札するということは、世界で一番高く落札するということです。

国内でも貴重になってきた良質な商品車は、オークションには出品されなくなりつつあります。

良質な商品車のオークションへの主な供給源は、新車ディーラーと買取専門店です。しかし、新車ディーラーはバリューチェーンの強化を目的として、中古車販売に注力するようになってきています。下取りで入ってきた良質車を、自社のネットワークからできるだけ出さない戦略へシフトしています。

一方、買取専門店も直販モデルを模索しており、自社で小売販売するスキームを構築しつつあります。資金回転率の兼ね合いから、まだオークションに出品して換金を行なっていますが、自社販売の仕組み化が進めば、それもどうなるかはわかりません。

新車国内市場がシュリンクしていくことが確実であるため、今後、中古車市場が大きく成長することはないでしょう。もし、経済環境の変化などにより中古車へのニーズが高まったとしても、販売に適した車両が市場に供給されないため、売る商品がないという状態になります。どう転んでも楽観視できる要素はありません。

今後重要になってくることは、いかに良質車を確保するのかということです。オークションで仕入れることは難しくなることが予想されますので、必然的に川上へ向かうことになるでしょう。

ユーザーからどれだけ直接買い取れるか、または、買い取る仕組みを創れるか、これが重要になってくるでしょう。しかし、買い取っただけではダメで、その車両をどのように流通させるか(おそらくは共有するカタチになるはず)が問題になります。台あたりの利益が薄くなっていくので、陸送してオークションに出して〜という手法はコストが高すぎます。もっと様々なところがダイレクトに繋がるような仕組みが求められていくでしょう。

そう考えると、次の一手は買取チェーンから出てきそうな気がします。もしくは、買取へ大きくシフトしていく事業者でしょう。このあたりの動向は気にしておく必要があると思います。